【レポート】第39回/三重県:地方創生ネットワークの極みを見た

2018.12.20

39都道府県目となる三重開催は、共催の「三重地方創生コンソーシアム」そしてそのメンバーの強烈な個性が光る素晴らしい会となった。

「三重県は、やる気のある農家や漁師、行政、大学、民間によるコンソーシアムが生態系として機能している」。高橋の、会を終えての感想。確かにそうだ。三重大学で水産流通を研究していた准教授らが中心となって、県内の若くて力のある農家や漁師、また変革を厭わぬ自由な雰囲気の行政職員らのチームができあがった。

都市や企業と地域をつないでイノベーションを。そうした掛け声をよく聞くようになった昨今。三重が着実に結果を残しているその背景には、彼らのようなチームの「受け入れ力」があることは間違いない。それはそうだ。自ら発掘せずとも、魅力あるプレイヤーが集まって、しかも内部の調整機能も果たしてくれる。我々を含む外部からしてこれ以上のことはない。昨日の会の全体調整を担っていただいたのは、県庁の農林水産事務所長。Facebookメッセンジャーで一瞬で関係者グループを作り、年齢や所属や役職を超えたフラットで心地の良い関係性が調整段階から垣間見えた。(太田所長、誠にありがとうございました)

さてそうして開催された三重の会。師走の平日のまっぴるまにも関わらず40名超の皆様にお集まりいただき、いつも通り高橋のアツいトークからスタート。「1.4%の生産者と98.6%の消費者」のフレーズが何度も繰り返され、つくると食べる、都市と地方の乖離そして両者がつながることで生まれる変革について1時間超語り続けた。

そして第2部は、コンソーシアムのメンバーでもある三重のトップ生産者4名に登壇いただいてのトークセッション。簡単な自己紹介の後に高橋がモデレーターを務める形で進行した。

「漁師の数はもっと減ってもいいと思う」と語ったのは、南伊勢町で真鯛の養殖を行う橋本純さん。その一言に高橋が突っ込むと、持論を展開。衰退する漁業そして町を救うためには新しいアクションが必要だが、変化を嫌う上の人たちがつかえて変革がやりづらい。漁においても限られた資源を分け合う部分があり、漁業者が多いと若く新しい人への分配がされず収益面での魅力が出ないと。

もちろん、橋本さんは文句を言うだけの人ではない。漁師の枠を超えて多方面に動いてきた。漁に加えて漁体験の企画、子供むけの教育プログラムやインターンの受け入れなどを行いつつ、拠点としてゲストハウスを運営。地域に必要な人材として、外部からデザイナーや場づくりのプロをスカウトして移住してもらう。外国人のエンジニアもいるとか。印象に残ったのは、橋本さんを訪ねた都会の人の変化のお話。「アスファルトに立ってた人は最初いかだの上、船の上でまともに立つことができない。でも、何日か海に出ると立てるようになる。僕が教えてるのは漁業ではない。できるってこと、自分にはその力があるってことを教えている」。地域や漁の現場を舞台としながら今こそ必要な人間教育を行っているお話は、高橋のメッセージにも通じるものがあった。

橋本さんの運営するゲストハウスのFacebookページ

ああ、長くなってしまいました。このペースでは続かないのでこの先はさらにダイジェスト版で。。

続いては、漁業のオープンソース化のお話。大阪から「嫁ターン」で鳥羽市の浦村という漁村に入り漁師となって10年という浅尾さんが語った。浅尾さんは、これまでの地域の常識を疑い、自ら研究して新しい道を切り開いてきた人。5年前には持続可能なあさりの漁法をつくりだし天皇賞を受賞。また牡蠣養殖をベースにしつつ、数年前からは新たな素材としてアカモクに着目してこれまた成功、販路を拡大してきた。彼の手法はオープンソース。牡蠣も全国の漁師とネットワークして共に研究やナレッジ交換を行うし、あさりもアカモクも技術も販路も共有する。「成功したら守ったほうが利益になるなんて言う人もいるが、共有してクオリティを保って一緒に進んだ方が全体のパイが広がり結局儲けにもつながる」。アカモクも元々は「浦村アカモク」と地域のブランドをつけていたが、途中からそれもとって全体の底上げに切り替えたという。

今回の紅一点、鈴鹿市でネギを中心に年間200品目!もの栽培を行い全国の飲食店にファンを作り続けている「すいーとぽたけ」の吉川さん。彼女は女性の役割を一言、コミュニケーション力と言い切った。それは上手にしゃべるってだけではなく、地域と一緒にやるとか、消費者の感覚を現場にもたらすとか。「商品開発で、スーパーでもの買わないおじさんたちだけでワーワー言ってても意味ないですよね」と笑いを誘った。農水省の「農業女子プロジェクト」でも精力的に活動する彼女が最後にさらりと言った言葉も響いた。「女性は寄り添えるんです」。野菜と、自然と、人と、寄り添う姿勢が必要なんだと。

最後にもう1人、ご登壇いただいたのは三重の南の南、和歌山との県境に近い御浜町で柑橘を栽培しているかきうち農園の垣内さん。サラリーマン生活からご実家にUターンして畑を継いだが、農業の厳しさに直面した。アルバイトとも平行して生き抜いた大変な時代をへて、2011年に法人化。農地は担い手不足の地域から頼まれ拡大を続け24haまで拡大、そのほとんどを市場流通に頼らず直販でさばく。新卒を受け入れ、海外展開も行い、JRと組んで農業体験にも取り組む。地域の注目を集める企業に成長したストーリーを披露いただいた。

こんな彼らに「漁業法の改正で騒がれる企業参入はどうか?」「外国人労働者の受け入れは?」など高橋が切り込むセッションは盛り上がりを見せたが、時間を当然少しオーバーしつつも時間切れ。議論は二次会に持ち越されることになった(が、居酒屋議論の内容は書けません・・・)。

47都道府県をまわるキャラバンも、終わりが見えてきた。各地でこうした新しい出会いや印象に残るストーリーをお聞きし、議論し、仲間を増やしてきた。共催いただいた皆さんには心から感謝を申し上げるとともに、仲間として今後引き続きご一緒できることを楽しみにしています。

そして!キャラバンの千秋楽は2月末に東京で行う予定です。日本中の生産者が集まり、ユーザーとかきまざるすんごい企画とすべく進めています。お楽しみに!